医療機関の労働環境は、一般患者様が考えているよりも過酷なものとなり、業務量や人員不足に悩んでおられる医院様は少なくありません。
労働環境を改善するためにも、患者様にとってより良い診療をしていくためにも、業務改善が必要です。現在では医療機関でもIT化が進み、先駆けて取り組んでいる病院・クリニックは改善効果を実感されています。
今回の記事では、今後の医療機関の業務改善に役立つITツールをご紹介します。
1 IT化によって実現可能な、医療機関の業務改善
病院・クリニックなどの医療機関にITを取り入れることにより、
・予約対応の効率化
・待ち時間の確認
・再診率の向上
・Web問診による効率化
などの業務改善が期待できるようになります。
1.1 予約対応の効率化
従来であれば、病院やクリニックを受診するには、患者様側が受診先に電話をかけて空き状況を確認する必要がありました。しかし、医療機関側にとっては「業務時間中に電話が鳴る」「作業を中断してまで電話応対をしなければならない」など、時間的・業務的なストレスになっている事実は否めませんでした。
予約システムを導入すると、患者様はパソコンやスマートフォンなどのWeb上で予約ができます。診察を受けたい日時と受診先のスケジュールにあわせて予約できることで、電話口で受診日や時間の選択に迷うこともなくなります。さらに予約管理がWeb上でできるので医療機関側も電話を受けたり予約を調整したりする作業がなくなり、業務軽減にもつながります。
サービスによっては、他業種でよく使われる『リマインド機能』を採用しているところがあります。予約日や時間が近づくと個別でメッセージを送る『リマインド機能』を利用することで、「予約を忘れていて受診できなかった」というミスを防げるようになります。
急な用事や体調不良といった理由ではなく、忘れていただけで受診をキャンセルされるのは、医療機関にとっては痛手の一つです。無断キャンセルを避けるためにも、人的ミス防止にITツールが役立ちます。
1.2 待ち時間の確認
予約システムでは、それぞれの日の混雑状況が確認できます。そこで、患者様側も「受診したい日の混み具合はどれくらいか」「ほかに空いている日はないか」など、スケジュールに応じてより待ち時間の少ない日を決められるようになります。
患者様にとって、医療機関の待ち時間は大きなストレスの一つです。加えて現在はいまだ新型コロナウイルスの影響もあり、「不用意に出かけて密状態の場所に行ってしまった」というリスクが避けられる傾向にあります。院内での感染拡大を防ぐためにも、ITツールによるスケジュールの「見える化」が問われます。
1.3 再診率の向上
受診時の待ち時間のストレスは、初診だけにとどまりません。事前予約で再診した場合でも、「意外に待ち時間が長かった」「自分よりも先にほかの患者さんが呼ばれた」など、不満を抱くケースもあります。
そこで、ITツールで診察予約システムを活用すると、受診日のスケジュールが確認できます。これにより「患者様のストレスを軽減でき、満足度を高められ、再診のキャンセルが出にくくなった」との声も医療機関からあがっているほどです。
具体的には、子育て世代に多く利用される小児科や皮膚科、プライバシーが重視される婦人科や心療内科、自由診療なら美容外科や美容皮膚科などの診療科では、予約システムは必須のツールとも言えるでしょう。
1.4 Web問診による効率化
WEB問診とは、来院時に記入する問診シートをWeb上で完結させるシステムです。
従来は、患者様が来院後に紙に記入し、受付に渡すスタイルが一般的でした。医療機関によっては、紙で回収後にスタッフがデータ入力することもあり、二度手間が発生していました。そこで、スマートフォンなどで回答できるWeb問診票にすることで、二度手間が省けるようになり、患者様の状態を院内共有できるようになります。
またWeb問診は来院時だけでなく、受診前の入力も可能です。事前に入力することで、医療機関側も患者様の情報をいちはやく把握でき、実際の診療の効率化を図れるようになります。
2 LINE公式アカウントによる医療機関の業務改善
今回ご説明したITツールは、すでにさまざまなサービスが展開されていますが、LINE公式アカウントでも同様の機能を利用できます。
実際にLINE公式アカウントでは、
・LINE予約システム
・Web問診化
・医院情報のメッセージ発信
などの機能を展開しています。
現在では、非常に多くの方がLINEを利用しています。飲食業界やアパレル業界では、すでにLINE公式アカウントの活用を始めています。
医療機関とLINE公式アカウントは一見関係性がないように思われますが、実際に導入した病院・クリニックでは、「スタッフの作業効率が上がった」「Web問診化により、診察ではより踏み込んだ質問ができるようになった」「予約キャンセルや無断キャンセルが減った」などの報告がされています。
また、LINE公式アカウントは独自の情報発信ツールで既存患者様との関係構築ができるため、既存患者様に向けたマーケティング施策にも効果的です。
3 まとめ
LINE公式アカウントは医療機関の業務に関係がないように思われますが、柔軟に取り入れることで業務改善に大きく貢献することがわかります。
業務改善のためにも、患者様の利便性を高めるためにも、LINE公式アカウントの活用は、なくてはならない手段となるでしょう。