患者さんがクリニックを探すとき、Googleマップや口コミサイトを確認することが増えてきました。公式ホームページの情報だけでなく、「実際に通った人の声」を参考にする傾向が強まっています。そのため、口コミは医院選びのひとつの材料となる重要な要素といえるでしょう。
しかし、中には不満や誤解が含まれたネガティブな口コミが投稿されることもあります。これを放置すると、信頼性や集患に影響を及ぼす恐れがあります。こういったWeb上の評価はコントロールできないものなのでしょうか。
本記事では、口コミを適切に管理し、医院でも実践しやすい方法を解説いたします。
目次
自動化ツールを活用した口コミ収集の仕組みづくり
近年では、LINE公式アカウントなどを活用し、診療後に自動でアンケートを送信する仕組みが広がっています。自院におけるサービスの改善に生かせると同時に、スタッフのモチベーション向上にも役立てられます。
診療後のアンケート依頼
診療が終わった直後に「本日の診察はいかがでしたか?」と★1〜5での評価を求めるメッセージを送る方法です。
高評価の場合
★4や★5の評価をした方には、そのままGoogleマップの口コミページにアクセスできるリンクを案内し、ポジティブな声を書き込んでもらいます。
低評価の場合
★1や★2と答えた方には、LINE上で改善点や意見を伺い、直接フィードバックを受けられるようにします。つまり、Googleマップの口コミ投稿への誘導を回避します。
この仕組みにより、自然にポジティブな口コミを集め、ネガティブな意見は院内で吸収できるのです。その結果、効率的な評判管理が可能となります。
Googleマップ上のネガティブ口コミへの対応方法
では、それでもGoogleマップの口コミにネガティブな意見を書かれた場合はどうしたらよいのでしょうか。
1. 基本的に削除はできない
Googleマップに投稿された口コミは、自院で直接削除することはできません。ただし、誹謗中傷やスパム、プライバシー侵害など明らかに不適切な内容については、Googleに報告して削除申請することが可能です。
2. 削除申請が通らないケースも多い
報告を行っても、Googleがポリシー違反と判断しない限り、投稿は残ってしまいます。そのため「削除を前提にする」のではなく、「公開された口コミに誠実に対応する」姿勢が重要になります。
3. 誠実な返信で印象を変える
ネガティブな口コミに反論すると、第三者からは不快に映ってしまうことも。
「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」「ご意見を受けて改善に努めております」といった丁寧な表現で返信することが大切です。誠実な対応を目にした閲覧者は「このクリニックは信頼できる」と感じやすくなります。
4. ポジティブな口コミを積極的に増やす
ネガティブな投稿があっても、それを上回る良い口コミが積み重なれば全体の印象は向上します。診療後に口コミ協力をお願いする、院内にQRコードを掲示するなど、日常業務の中で取り組める工夫が効果的です。
院内で取り組める実践的な工夫
Web上の見え方を改善するテクニックを紹介しましたが、それよりも実際にクレームが発生しないような体制作りを整えるのも大切です。
ここではクレームの発生しにくいクリニックを作る方法について考えられるものを挙げていきます。
接遇の意識向上
口コミに多く書かれるのは、診療内容以上にスタッフの接遇です。笑顔や丁寧な説明を徹底するだけで評価は変わりやすいです。医療職にはなじみのない場合が多いのですが、接遇研修などの導入をするのもひとつの手です。
待ち時間を減らす方法を考える
クレームが多い原因のひとつは、待ち時間の長さです。背もたれもない椅子に数時間待つ・予約したのに2時間待ったなど、こうした状況が利用者の不満を招き、サービス全体への信頼低下につながる可能性があります。
ある待ち時間の長い人気の婦人科の外来では、かわいいかごに飴を入れて声をかけながら配ってまわるなどの工夫をしていました。お子さんが多い耳鼻科や歯科などでは読書や宿題ができるように学習机を置くところもあります。
また、「あと○分程度でご案内できます」と掲示板やLINEで伝えるだけでも、患者さんの不満は軽減されます。自院として何ができるか、考えてみましょう。
口コミ確認の習慣化
担当スタッフを決め、週1回でも口コミを確認する体制をつくれば、投稿を見落とさずに対応できます。悪い口コミを見落としてしまうと、信頼を損なうリスクが高まります。見落とさないような体制を意識しましょう。
まとめ
口コミは医療機関にとって、新しい患者さんを呼び込む「信頼の証」とも言える存在です。ネガティブな投稿は消すことが難しいため、削除を期待するのではなく、誠実な対応と院内改善で信頼を高める姿勢が求められます。
また、診療後の自動アンケートなどを活用すれば、ポジティブな口コミを増やし、ネガティブな声は内部で受け止める仕組みを整えることができます。こうした取り組みを日常の診療と組み合わせることで、医院全体の評判を向上させていきましょう。