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【医療機関のデータ分析活用術】
Googleアナリティクス4で読み解く患者行動と集患改善策


「患者さんがどうやってホームページにたどり着き、どこで離脱してしまうのか」。


これは、歯科医院や内科、小児科など幅広いクリニックで共通する悩みです。感覚や経験だけで判断していると、実際の患者行動とのズレに気づかず、集患のチャンスを逃してしまうことがあります。


そんなときに頼れるのが Googleアナリティクス4(GA4) です。従来のアクセス解析よりも柔軟で、患者さんの行動を「ページ単位」ではなく「イベント単位」で把握できるため、来院に至るまでの過程や離脱の原因がはっきりと見えてきます。


今回は、Webアクセスのデータ分析をしたいと思っている方やGA4の活用を検討している方向けに、患者行動を読み解き、効果的な集患改善策を打ち出す方法をご紹介します。


GA4でわかる「患者行動パターン」


GA4では、患者さんがサイト内で行った動作を「イベント」として記録します。たとえば歯科医院の場合、次のような流れを把握できます。


  1. 「Google検索で“〇〇市 歯医者”と入力し、サイトに訪問」

  2. 「トップページから“診療メニュー(むし歯・歯周病・ホワイトニングなど)”ページを閲覧」

  3. 「料金ページや症例写真を確認」

  4. 「スマホから予約ボタンをタップ」


こうしたデータを追うと、患者さんが何に興味を持ち、どの段階で来院を決めるかが見えてきます。


内科や小児科でも同じです。例えば小児科なら「予防接種ページを見たあとに診療時間を確認」する流れが多ければ、そのページ間をつなぐ導線を強化すると予約率の向上が期待できます。


内科や耳鼻咽喉科なら、季節性疾患(インフルエンザ他感染症、花粉症)のページからのアクセス動向を追うことで、時期に応じた情報発信が可能です。


データを改善施策に変える3ステップ


GA4の数字をただ眺めるだけでは集患は進みません。以下に想定される一次例を示しますが、重要なのは、PDCAサイクルを回すことです。

まずはGA4をつかって現状の分析から始めます。


  1. 課題の特定(現状分析):

    歯科医院で「ホワイトニングページの閲覧数は多いが予約ページへの遷移が少ない」=料金や施術の流れが分かりにくい可能性を認識。


  1. 仮説の立案(Plan):

    「症例写真や料金表をページ上部に配置すれば予約率が上がるはず」などといった改善案を立てます。他にも考えられる場合は複数の仮説を立てましょう。


  1. 施策の実行(Do):

    そのうちの可能性の高いものから実際に実行してみます。


  1. 実行後の検証(Check):

    実行後のデータをGA4で比較、予約率や滞在時間が改善したか確認します。


  1. 検証後の改善(Action):

    改善が見られなければ、別の仮説を試します。


これらで得られる結論は非常に単純なことかもしれません。


たとえば、小児科では、予防接種案内ページに「接種可能な曜日と予約方法」を明確に記載するだけで、予約率のアップが考えられます。小さな改善で大きな効果が得られる可能性を発見できるのです。


医療機関ならではのGA4活用ポイント


GA4は汎用的なツールですが、医療機関の運営では以下の分析視点が特に有効です。


  • 診療科別のアクセス傾向分析:

    歯科なら「一般歯科」「矯正歯科」「小児歯科」、内科なら「発熱外来」「生活習慣病」、小児科なら「予防接種」「発達相談」など、各診療科ページのアクセス数や滞在時間を比較します。アクセスの多い診療科は訴求強化、少ない診療科は情報追加や導線改善が必要です。


  • デバイス別利用傾向の把握:

    多くのクリニックではスマホからのアクセスが7~8割を占めると思われますが、自院の傾向をきちんと確認しましょう。スマホ画面からの離脱が多い場合、「治療の説明図中の文字が小さくて読めない」「予約カレンダーが見にくい」などの理由が考えられるため、すぐにモバイル最適化を行いましょう。


  • 時間帯別アクセス分析:

    地域にもよりますが、内科では昼休み、小児科は夜21時以降の閲覧が多いと推測されるとします。このような特定の時間帯にLINE予約案内やWEB予約ボタンを目立たせる設定にし、PDCAを回せばコンバージョン率は改善される場合もあります。


集患に直結する実践事例


ここで、GA4を活用して集患につなげている実践事例を2例ご紹介します。


事例1:複数拠点を展開する美容医療グループのケース


全国に数百規模のクリニックを展開する美容医療グループでは、GA4と外部分析ツールを連携させ、Web上のユーザー行動と集患施策を一元的に管理できる体制を構築しました。


これにより、施策ごとの効果測定や集客の最適化が可能となり、来院予約の増加と売上向上につながりました。


特に、広告から予約までの流れをデータで可視化し、費用対効果の高いチャネルを見極められるようになったことが大きな成果だったといいます。


事例2:都市部で健診サービスを提供するクリニックのケース


都市中心部で健康診断や人間ドックを提供するクリニックでは、予約率の伸び悩みが課題でした。GA4の導入により、サイト内でのユーザーの動きや離脱ポイントが明確になり、ページ構成や予約導線の改善を行いました。


その結果、予約フォームへの到達率が向上し、オンライン予約数が安定的に増加するようになりました。特に、スマートフォンからの利用が多いことを踏まえたモバイル最適化が功を奏したそうです。


まとめ


Googleアナリティクス4は、歯科・内科・小児科といった診療科を問わず、患者行動を数値化し、改善点を明確にするための強力なツールです。


特に、診療科別・時間帯別・デバイス別といった切り口での分析は、患者さんの生活習慣や検索行動に合わせた戦略を組み立てるうえで重要な要素です。


「なんとなく更新している」ホームページから、データ根拠に基づく集患ツールへと進化させることができれば、予約率や来院数の改善が見込めるでしょう。


GA4は大規模病院だけのものではありません。中小規模のクリニックでも、少しの工夫で大きな効果が得られるかもしれません。


まずはGA4を開き、患者さんがどのページを経由して来院を決めているのか、どこで離脱しているのかを確かめてみてください。その一歩が、着実な集患改善への始まりです。