近年、医療機関同士での競争が激しくなり、「開院すれば集患できる」というのは過去の話となり、一般企業並みのマーケティング対策が求められるようになってきました。
今回の記事では、医療機関に必要な集患対策と、具体的なマーケティング戦略について解説します。
1 医療機関と、集患対策とマーケティングの関係性
医療機関の経営促進と長期的な存続を実現するには、患者様の呼び込みと維持が必要です。
これまで医療機関では、他の業種のような集患やマーケティング対策はそれほど必要ではありませんでした。しかしインターネットの普及から、患者様も自力で医療機関の情報収集ができるようになった背景もあり、「より自分のニーズに応えてくれる医療機関」を探すようになっています。そんな中、医療機関側から情報発信しない限りは患者様の呼び込みが難しくなります。
医療機関でも集患対策やマーケティングに励む医院が増えています。医療機関でも現在の流れに対応し、新たな視点での経営対策を始めることで、より強固な経営基盤を築けることでしょう。
現在における集患・マーケティング対策には、ITの活用が適切です。ここでは、新規獲得施策と再診促進施策の観点から、必要な対策をお伝えします。
1.1 新規獲得施策
新規獲得施策の目的は、「まだ自院に来たことがない患者様に、受診してもらう」ことです。
そのためには、
・自院について知ってもらう
・「受診したい」と思ってもらう
上記のアクションが必要です。数ある情報のなかで自院を選んでもらえるよう、工夫をする必要があります。
具体的な方法としては、
・ホームページを充実させる
・検索サイトで上位を維持する
・口コミ対策をする
・インターネット広告を出稿する
などが有効です。ホームページは患者様の受診を動機づけるための情報発信、口コミは実際に自院を利用した患者様からの評判、インターネット広告は検索サイトで有利な立場に立つためと、新規獲得施策には欠かせない手段です。
1.2 再診促進施策
「一度受診した患者様に、また利用してもらう」が目的の再診促進施策では、従来は医師やスタッフの対応、地域性や利便性などが揃っていれば過不足はありませんでした。しかし、現在が情報化社会であることを考えるとITや集患、マーケティングの観点からの対策が欠かせません。
再診促進施策は新規獲得施策とは異なり、以下のような項目を押さえておくことが重要です。
・患者様にとって自院が必要だと思ってもらう
・定期的な受診が必要だと知ってもらう
・自院がいつでも患者様のサポートができると知ってもらう
そのための方法として、『LINE公式アカウントでの情報発信』が役立ちます。
2 具体的なマーケティング戦略
具体的なマーケティング戦略には、以下のようなものがあります。
2.1 ホームページ制作・管理
自院の看板となるホームページ施策は、新規獲得施策には欠かすことのできない方法です。
・各診療科目の情報
・治療法、症状についての説明
・写真
・医師のプロフィール
など、情報量が十分なホームページは患者様を信頼させ、「この医療機関なら行きたい」と思わせてくれます。
これらの情報に合わせ、見やすいデザインであること、常に情報が更新されていることも集患・マーケティング施策として役立ちます。
※なお、ホームページは医療広告ガイドラインに準拠した内容を掲載する必要があります。
2.2 口コミ対策
「すでに利用した患者様から、自院がどのように思われているか」を示す口コミも、新規獲得施策には重要な役割を持ちます。
Googleビジネスプロフィールの登録や予約サイトの出稿などで、患者様からの口コミが得られます。多ければ多いほどアピールにつながるため、積極的な活用が理想です。
ただし、口コミの質は患者様によって左右されるという一面もあります。そのような際には、医院様側で口コミに返信し、誠意ある態度を示すと良いでしょう。
2.3 検索サイト対策・インターネット広告出稿
作成したホームページは検索サイトの上位を獲得できるよう、SEO対策をはじめとする施策が必要です。インターネット広告やSEO対策を視野に入れ、常に患者様に「見つけてもらえる」状態を維持するのがベストです。
検索サイト対策では、キーワードを選定したSEO対策を行います。インターネット広告出稿では状況に合わせた予算で広告を出し、検索サイトで上位を獲得します。
2.4 ネットリリース配信
オンライン診療やPCR検査、治療法、分院展開などの新しい取り組みがある場合には、より広範囲な情報発信が必要です。
そのような場合、インターネット上のネットリリース配信でメディアから報道されると、より多くの方へ自院のホームページへの誘導ができます。
自力での企画や配信も可能ですが、より効率的かつ効果的に行うのであれば、専門業者への依頼が理想です。
2.5 LINE公式アカウントの活用
新規患者様の再診を促すには、関係性の維持が必要不可欠です。
そこで、LINE公式アカウントを開設し、新規患者様に登録してもらい、情報発信を続けていきます。これにより新規患者様を『会員化』でき、関係性をより強化できます。
LINE公式アカウントの運用も、運用サービス業者のサポートを得ると、作業効率・集患効果がより確かなものになります。
3 まとめ
今回ご紹介した集患・マーケティング施策は、医療機関の経営促進に貢献するために必要となる手段です。
新規患者様の獲得と再診促進の両方からアクションを起こし、経営基盤をさらに強固にするのが非常に大切なポイントです。