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【高齢患者向けLINE運用】シニア世代にも使いやすい医療機関のLINEコミュニケーション設計


近年、医療機関においてもLINEを活用した情報発信や予約管理を利用するクリニックも増えてきました。若年層の利用はもちろんですが、いまやシニア世代も日常的にLINEを使っています。


総務省の調査によれば、60代以上のインターネット利用率は年々上昇し、コミュニケーション手段として今では多くの方が日常的に活用している状況です。


しかし、高齢患者にとって「小さな文字が読みにくい」「操作方法が分かりづらい」といった課題は残ります。医療機関がLINEを導入するなら、こうした世代に配慮した工夫が欠かせません。


この記事では、高齢患者にも理解しやすく使いやすいLINEコミュニケーション設計のポイントを解説します。


読みやすく分かりやすいメッセージ設計

シニア世代に配慮する第一歩は、文章表現の工夫です。難しい医療用語を多用すると、かえって不安や混乱を招きます。そこで、以下のような工夫が効果的です。


  • 短い文で伝える:一文を長くせず、簡潔にまとめることで理解しやすくなります。

  • やさしい言葉を選ぶ:「服薬遵守」ではなく「薬を忘れずに飲みましょう」と表現するなど、生活に近い言葉を用います。

  • 見出しや改行を活用:長文を避け、必要に応じて改行を入れると、読みやすさが格段に向上します。


また、文字サイズの大きさも重要です。高齢者の中には小さな文字が苦手な方も多いため、LINEの「リッチメッセージ」や「画像付き配信」を活用し、大きめのフォントや図解を取り入れると効果的です。診療時間や休診日のお知らせなども、カレンダー画像を添えると直感的に理解できます。


操作案内の工夫

LINEを使った予約や問診票入力は便利ですが、慣れない方にとってはハードルが高いものです。そのため、操作方法の案内には段階的な工夫が求められます。


まず、最初のメッセージで「ボタンを押すだけで進めます」といった安心感を与える一文を添えましょう。次に、実際の画面をイメージした図やアイコンを提示すると、操作がスムーズになります。特に「予約」「キャンセル」など、よく使う機能は大きなボタン形式にすると迷わず操作できます。


信頼を高める情報提供の工夫

医療機関のLINE運用では、単なる予約や案内にとどまらず、健康意識を高める情報提供が欠かせません。特に高齢患者にとっては、正しい知識が安心感につながります。


ただし、ここでも注意が必要です。文字だけの長い説明では理解が追いつきにくいため、図やイラストを添えるのが効果的です。たとえば「熱中症予防」や「インフルエンザ対策」といったテーマを、季節ごとにわかりやすくまとめると喜ばれます。


また、配信の頻度にも配慮が必要です。あまりに頻繁だと煩わしく感じられますし、逆に少なすぎると存在感が薄れます。月1回程度の健康コラム配信や、必要時の臨時案内を組み合わせるのがバランスのよい方法です。


まとめ

高齢患者に向けたLINE運用は、単なるIT対応ではなく「安心して医療を受けられる環境づくり」の一環です。


短く分かりやすい文章表現、大きな文字や図解の活用、段階的な操作案内、そして家族も含めたサポート設計。こういった工夫を意識することで、シニア世代にも快適で使いやすいコミュニケーションが期待できます。


医療機関のLINE活用は、単なる便利さを超えて、患者の信頼を築く大切な接点となります。これからのクリニック経営において、高齢患者に寄り添ったデジタル対応はますます重要になるでしょう。