医療機関のホームページ（HP）は、患者が治療を受ける医師や医療機関を選ぶ重要な情報源です。しかし、掲載内容が「医療広告ガイドライン」に違反すると、行政指導や罰則を受ける可能性があります。これは、患者が正しい情報を基に医療機関を選べるようにするためのルールです。
本記事では、医療広告ガイドラインの基本的な内容や、注意すべき具体的なポイント（自由診療の費用表記、ビフォーアフター写真、口コミの掲載ルールなど）を詳しく解説します。
医療広告ガイドラインとは？
まずは、医療広告ガイドラインの目的や対象範囲、具体的な規制内容を確認していきましょう。
目的
医療広告ガイドラインは、患者が誤った情報で医療機関を選ぶことを防ぐために制定されました。その目的は以下の通りです：
- 誇大広告の防止：効果を保証する表現や科学的根拠のない医療行為の宣伝を禁止。
- 不正確な情報の抑制：証拠に基づかない治療実績や効果の強調を制限。
- 患者の正しい判断の支援：信頼できる情報提供を通じて、患者が適切な医療機関を選べるようにする。
医療機関のホームページは、ガイドライン上「広告」とみなされるため、掲載する情報には十分な注意が必要です。
対象となる媒体や情報
医療広告ガイドラインは以下の媒体に適用されます：
- チラシ、パンフレット、ポスター
- 新聞・雑誌広告、テレビ、ラジオ
- WEB広告、Eメール、SNS投稿
院内限定の掲示物や、取材記事はガイドラインの対象外ですが、インターネット上の情報発信はすべて規制対象となる点に注意してください。
禁止されている表現
医療広告ガイドラインでは、以下の表現が禁止されています：
- 誇大広告：効果や実績を誇張する表現（例: 「必ず治ります」）。
- 比較優良広告：「日本一の治療」「他院より優れている」といった主観的な表現。
- 口コミや体験談: 患者の主観的評価を広告目的で強調する行為。
- ビフォーアフター写真: 結果を保証するかのような写真のみの掲載。
- 料金を明記しない自由診療広告: 「お問い合わせください」のみでは不可。
これらは、患者に誤解を与えるリスクが高いため、厳しく規制されています。
よくあるNG事例とその理由
以下は、医療広告ガイドラインに抵触する具体例とその理由です：
- 【最高の治療実績を誇ります！】
→理由：比較優良表現の禁止。根拠のない主観的評価はNG。
- 【ビフォーアフター写真で効果を実感！】
→ 理由：写真だけでは誤認リスクがあり、患者の期待を過剰に煽る可能性がある。
- 【確実に治ります】
→ 理由：治療効果を保証する表現は科学的根拠に基づかず、患者を誤解させる。
- 【口コミ5つ星評価！】
→ 理由：患者の主観的評価の恣意的利用は禁止。
- 【自由診療の料金はお問い合わせください】
理由：自由診療では、費用やリスクの明記が義務付けられている。
自由診療広告の「限定解除要件」とは？
医療広告ガイドラインには、特定の条件を満たす場合に広告制限を一部解除する「限定解除要件」が存在します。以下の条件を満たせば、自由診療や美容医療の詳細を広告に掲載できます：
1. 患者が自ら情報を求めてアクセスする形式（公式サイトや患者専用ページなど）。
2. 問い合わせ先や詳細情報を明記（費用、リスク、副作用など）。
3. 治療費や副作用、リスクに関する情報提供を行う。
まとめ：医療広告ガイドライン遵守が信頼の第一歩
医療広告ガイドラインは、患者に正確で信頼できる情報を提供するための規則です。特に自由診療や美容医療を扱うクリニックでは、広告表現に細心の注意を払いましょう。
今一度、自院のホームページやSNS投稿を見直し、患者にとって有益な情報を発信することで、信頼と集患を両立させる取り組みを進めてください。