患者さんは病院やクリニックを探す際に、ますますインターネットを積極的に活用するようになっています。しかし、単にホームページを作っておけばそれでいいわけではありません。その時に重要なのが検索エンジンに対する対策が不可欠なのです。今回は代表的な検索エンジンであるgoogleを例に、考えておきたい対策をまとめました。
インターネットで病院やクリニックを探される場合は基本、検索エンジンで検索される場合が多くなります。そのほかには医療機関専門の検索サイトの活用などがありますが、最終的には、それぞれのホームページにたどり着くことになります。
検索の結果としてなるべく上位に表示されるホームページのほうが、より多くの閲覧機会が得られるでしょう。裏を返せば、「検索結果に表示がされない」「クリックが発生しない」といった状況は、自院の取り組みが認知されづらい状況にもなりかねません。
この記事では、近年のアルゴリズムのアップデートによる変化点をわかりやすくお伝えしています。
「より質の高い情報」の指標となるE-E-A-Tとはなにか
近年、Googleは医療情報に関する検索アルゴリズムをYMYL(Your Money Your Life)と呼ばれるカテゴリーに分類し、より質の高い情報提供に注力しています。YMYLには、医療情報だけでなく、金融情報や法律情報なども含まれます。
この「より質の高い情報」となるための指標となるのがE-E-A-Tと呼ばれるものです。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取った略語で、Googleが検索品質評価ガイドラインで定めた、ウェブサイトやコンテンツの品質を評価する基準です。
医療機関のホームページにおいて、E-E-A-Tを意識した情報発信は、患者さんからの信頼を得て、検索結果の上位に表示されるために非常に重要です。主な項目として以下の内容が挙げられるでしょう。
経験(Experience)
2022年12月にGoogleは新しい検索品質評価ガイドラインを発表し、これまでのE-A-Tに加えて、新たに加えられたのが「Experience(経験)」で、ホームページのコンテンツが持つ文字通り実体験や経験の量のことです。
例えば、手術ロボットに関する情報をホームページ上に掲載するときに、どのようなロボットであるのか、どんな利点や性能があるのかなどについてカタログ的な情報だけではなく、医師が実際に治療に使用した症例経験や効果を交えた情報を掲載することは医師でなくてはできません。
このように、実体験や実績に基づいた情報がコンテンツにより多く盛り込まれているサイトほどより高い評価を得やすくなります。
専門性(Expertise)
ホームページのコンテンツが提供する知識および情報の精度のことです。
現役の医師であれば専門職であるために一定の条件を満たしていると言えますが、特定分野の専門医や指導医などであればその知識の専門性はさらに高くなります。また学会発表や専門誌への投稿などの実績でも専門性が高いと判断されるでしょう。
権威性(Authoritativeness)
ホームページのコンテンツは情報の発信元がはっきりとしているかがポイントになります。コンテンツ提供者の氏名/役職名などの情報をしっかり明記する必要があります。 医師であれば主な専門領域や経歴なども、明記できる場合は含めたほうが権威性が高くなるかもしれません。さらに学会や医療機関からの賞や認定、論文や書籍などの出版物、講演会やセミナーなどへの登壇実績、メディアへの取材や出演などの実績も権威性の高さを裏付けるものと言えます。
信頼性(Trust)
ホームページのコンテンツは何より見る人に安心感や信頼感、誠実さを感じてもらわなければなりません。クリニックの場合、診療内容や治療費に関する透明性がある、問い合わせ窓口や相談窓口などがしっかり設けられている、などがホームページひいてはクリニックそのものへの信頼性を高めます。
E-E-A-Tへの具体的な対策例
もう少し具体的なポイントを加えると、検索アルゴリズムでは、専門家による情報発信が重視されるため、医師や研究者などの医療に関する専門家による情報発信は、一般人による情報発信よりも信頼性が高いと判断され、検索結果の上位に表示される傾向があります。院内の専門医や連携している専門家などのコンテンツも積極的に取り入れていくとよいでしょう。
また、医療情報は、公的機関や医療機関の情報が優先されます。厚生労働省や国立研究開発法人などの公的機関や、大学病院などの医療機関の情報は、民間サイトの情報よりも信頼性が高いと判断され、検索結果の上位に表示される傾向があります。
さらに最新の情報が重視されます。 医療情報は日々更新されるため、常に最新の情報に更新されているサイトの方が、評価を高める可能性があります。定期的に更新作業を心がけてください。実際に提供している治療や医療サービスに関連する学会や論文、行政の動きなどの情報も取り入れて更新していけば、「何を更新すればよいかわからない」といったお悩みは解消するかもしれません。
さらに読みやすくわかりやすい情報が重視されます。「より質の高い情報」とは、専門性が高いだけではだめです。患者さんにとってわかりやすく、読みやすい文章で書かれている情報であること、患者さんにとって有益であることが重要なポイントとなり、検索結果の上位に表示される傾向があります。
ホームページとSNSは車の両輪のような関係
医療機関のホームページは、自院の理念、診療内容、医師紹介、アクセス方法など、基本的な情報を発信するのに最適なツールです。また、ブログ記事やFAQなどを掲載することで、患者さんの疑問を解消したり、信頼感を与えたりすることもできます。
SNSは、日々の診療内容やイベント情報などを発信したり、患者さんのコメントや質問に答えたりすることで、患者さんとのコミュニケーションを図るのに適したツールとして、情報提供の迅速さや更新の手軽さ、内容によっては患者さんのロイヤリティが向上し、クリニックのファンになってもらえる可能性があります。
また、SNSの場合、基本的には無料で始めることができますので、ホームページへの流入を少なからず見込めるため費用対効果で見ても有効です。
病院・クリニックにとって、ホームページとSNSは車の両輪のような関係であり、どちらか一方だけを充実させるよりは、併せて考えていくことが今後のWEBマーケティングにはより必要となってくることでしょう。それぞれ異なる役割を持ち、患者獲得に貢献します。そうしたページでの医療情報の提供のありようは日々更新しています。
すべてを一気に始めるのではなく、段階を踏んで取り入れられる点を随時取り入れていくという流れでも、構いませんし、タイミングが合えばガラッと変えてしまうこともできるかもしれません。双方で大切なことは、継続させられるかどうかという点です。
まとめ
医療機関のホームページやSNSで情報発信をする場合、E-E-A-Tを意識することは、患者からの信頼を得て、検索結果の上位に表示されるために非常に重要です。上記のポイントを参考に、質の高い情報発信を定期的に継続発信させられるよう心がけていきましょう。